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「食物アレルギーの栄養食事指導の手引き」について

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ネット検索をやっていたら、「食物アレルギーの栄養食事指導の手引き2017」というpdfファイルを見つけました。38ページにわたる冊子で、内容は専門的ですが、情報がうまく整理され、分かりやすく解説されているため、一般の人が読んでもある程度は理解でき、参考になるものと思われます。

厚生労働省の「厚生労働科学研究班」により作成されたもの

研究代表者は国立病院機構相模原病院臨床研究センターの海老澤元宏先生で、検討委員は医師3名、栄養士2名で構成されています。

 

○この「手引き」の目的

栄養指導の現場で働く管理栄養士さん向けに作成されたもので、冒頭に次のようなことが記載されています。(以下引用)


食物アレルギー患者に対する栄養食事指導の役割は大きく、不可欠である

食物アレルギー患者は正しい診断にもとづいた必要最小限の食物除去を行いながら、
〈適切な栄養素の確保〉 〈生活の質(QOL)を維持すること〉
が求められる。それはつまり「健康的で」「安心できる」「楽しい」食生活が送れることであり、 栄養士はその支援・指導に関わることが期待されている。

本手引きは、主に管理栄養士の食物アレルギーの栄養食事指導レベルの向上を目標に 作成されているが、患者の生活に携わるすべての関係者の参考になると考える
また、食物アレルギーの標準治療にもとづいた栄養食事指導の基本を示すものであり、 個々の指導法の詳細を示すものではない


○内容の一部抜粋

原因食物別の栄養食事指導

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1. 鶏卵アレルギー
<食品の特徴と除去の考え方>

• 鶏卵アレルギーは卵白のアレルゲンが主原因であり、卵黄から除去解除されるこ とが多い。

注:分かりにくい文章ですが、「卵白にはアレルギー反応を示しても卵黄には反応しない場合もあるので、除去食の参考にはなる」と言った程度に理解した方がよいと思われます。ちなみにBMLという臨床検査会社の「CAPシングルアレルゲン検査」では卵黄も卵アレルゲンの一つとされています。

• 鶏卵は加熱により、アレルゲン性が低下する。アレルゲン性は、加熱温度や、加 熱時間、調理方法によって異なる。このため加熱卵が摂取可能でも、生卵や半熟 卵などの摂取には注意する。

• 鶏肉や魚卵は、鶏卵とアレルゲンが異なるため、基本的に除去する必要はない。

• 加工食品の原材料である卵殻カルシウム(焼成・未焼成製品)は、摂取することが できる。

うずらの卵は、食品表示法において特定原材料「卵」の範囲に含まれる。

<栄養食事指導のポイント>

鶏卵は安価で質のよいたんぱく質源である。これを代替するには、肉や魚、大 豆・大豆製品などを用いるとよい。

鶏卵不使用の魚・肉加工品(ちくわやウインナーなど)、マヨネーズ風の調味料が 市販されている。また、小麦や牛乳のアレルギーでなければ、食パンやコーンフ レークは鶏卵不使用の製品が多く利用できる。加工食品を適切に選択して、献立 の幅を広げることを指導する。

鶏卵を含まないクッキーやビスケット、ゼリーなどの菓子類は、給食のおやつや外 出時の携帯品として利用できる。また、鶏卵を含まないプレミックス粉の利用で、 家庭で手軽に菓子を作ることができる。

鶏卵を材料として使用する天ぷらの衣やハンバーグのつなぎなどは、いも類やで んぷんで代替可能である。家族全員で同じ料理が食べられるよう、食事準備の負 担軽減を考慮する。


鶏卵を少量ずつ摂取する指示が医師から出ても、鶏卵独特の臭い、色や味にな じめず、実際の食生活に導入しにくい場合がある。カレーやケチャップ、マヨネー ズ風調味料など、マスキング効果の高い食品を用いて、目標をもって開始すると、 抵抗感の軽減につながることがある。

○pdfファイルのアドレス

https://www.foodallergy.jp/wp-content/themes/foodallergy/pdf/nutritionalmanual2017.pdf

 

◎注意していただきたいこと!


この手引きは、「管理栄養士やその他患者の生活に携わるすべての関係者の参考になる」とのことですが、あくまでも医療専門家向けに作成されたものであり、一般向けとしては理解しにくい部分もあると思われます。したがって、現在医師等の指導の下に食物アレルギーのある家族の食生活を管理しておられる母さん達が、この手引きを見てこれまでの食生活の方針を変えたいと思われるときは、必ず現在指導を受けておられる医療機関の医師や管理栄養士と相談することをお勧めします。なぜなら、これはあくまでも「手引き」であり、個々の患者さんに対する方針は、現在の体調や経過を見て医師等が判断すべきものと考えられるからです。